そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

私を占い部屋に押し込んだイカれたおっちゃんが興奮気味に話し出す。


「姫、さすがです!あなたが言った通りでした。ある筋から情報が入りまして、二階堂君は他社に我が社の情報を流していたと確認出来たんです。

いや~まんまと騙されるとこでした。あのままヤツを専務にしていたら大変なことになるとこでした。本当に有難う御座います。このご恩は一生忘れません!」

「あ、そうなの?」


彼の社内事情なんて私には全くもってどうでもいいこと。軽く返事を返すとイカれたおっちゃんが私の手に封筒を握らせた。


「これは?」

「私のほんの気持ちです。では、時間がないので失礼します」


その"ほんの気持ち"とやらがずっしりと重くて「まさか……」と思い中を覗くと……


「おわっ!!」


銀行の帯封が付いた1万円札の束が入っていたんだ。


マジかよ?つまりこれは100万円……"ほんの気持ち"なんていうレベルじゃないでしょ?あのおっちゃん、どんだけ金持ってんだ?


実のところ、一番初めに占ったイカれたおっちゃんが謝礼にくれた10万が最高額で、他の人は精々2~3万。ヘタをすると5千円なんてのもあったから、何気にヤル気喪失気味だったんだよね~


しかし、コツコツ頑張ればこんないいこともあるんだ~これで半年くらいは借金返済楽勝!


ウホウホしながら喫茶店に戻ると、野球帽を目深に被り、カウンターに背を向けコーヒーを飲んでる中年男性を発見!


「ユミちゃんさん、お客さん来てるじゃないですかー!初めて見ましたよ」

「だね~久々のお客さんだよ~」


ユミちゃんは嬉しそうだけど、なんか怪しげなおっちゃんだ。結局、ここに集まるのは中年のおっちゃんばっかなんだ……

< 99 / 280 >

この作品をシェア

pagetop