ズボラ女子が恋をした場合。


……参ったなー、全く……。


「……俺、やっぱり振られる?」
「えっ?」

鈴菜ちゃんは驚いた顔で俺を見つめる。



「…当たりか」

なんで、気づいたのかな、俺。



鈴菜ちゃんからの電話なんて、嬉しいはずなのに、
ましてや会う約束なんて、もっと嬉しいはずなのに。

今日振られるな、俺。
って、なぜかそんなこと、思いながらここまで来た。



一瞬、ほんの一瞬だけ、
ただ俺に会いたいとか、そうだったらいいなって、思ったけど。



「ごめんね、日向とは、…付き合えない」

鈴菜ちゃんはそう言って下に俯く。

「……好きになってくれて本当にありがとう」


会った瞬間の空気で確信した。
何か決めた覚悟で、そう俺を見つめたから。



「鈴菜ちゃん、顔あげて」

俺の言葉に顔を上げる鈴菜ちゃんの頭を、

「こちらこそ、気持ちを伝えてくれてありがとう」

ポンと、撫でた。



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