もっと甘く   ささやいて
「明日会うアーティストは君のシリーズに惚れ込むだろう、誰だか知らないが。他の六本中、何本かTVの方へ流れるかもしれない。もしシリーズを増やせとオファーがきたら君はどうする?書くのか?」

「私は書いたものが映画になろうとTVで流れようとどうでもいいのです。今よりもっと書ける環境があれば嬉しいのです。私の現状は半分はバイトでつぶれているので。」

「要するに金銭面での余裕がほしいのだな?誰もが一番に抱える問題だ。だが君にはもう一生遊んで暮らせる富が約束されたも同然だ。思う存分書ける環境が整いつつある。他の作家達がうらやむものだ。」

「実感ないです。帰国したら何かが変わっているわけでもないし、村田さんは私の未来が決まっているとおっしゃるのですか?」

「そうだな、少しは決まっているかもしれない。君は二十四歳にしては幼いな。こっちの人間にティーンと思われてもショックを受けないことだ。」

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