もっと甘く ささやいて

「少し前と雰囲気が違うな？」

「どこがどう違いますか？」

「多少、大人っぽくなったか？」

「多少、ですか？」

「そう言うな、嫌でも年は食うんだ。君の望む成熟した、にはほど遠いが。」

「村田さんはどんなタイプの女性が好きですか？」

「私が選ぶ女性はたぶんこの世に一人しかいない私の想いだけを感じ取れる相手だ。いくら自分の気持ちを主張しても届かない相手ならしょうがないだろ？」

「そうですね、想いが届いたらいいですね。」

「そうだな、想い続ける今も大事だ。そばにいて見守っていける今が貴重な時だとも思う。」

私は村田さんの想いが欲しかった。

彼が想う相手をうらやんだ。

一体どんな女性かしら？

きっと成熟した大人の女性だわ。

私とはほど遠い、大人の女性を思い浮かべて悲しくなった。