もっと甘く   ささやいて
翌日も一日中ジュデェスの腕の中で過ごした。

私はベッドで体力の限界を味わった。

「ルー、シュンのオフィスへ行こう。僕が来ていると知ったら驚くだろ?」

「いいの?外へ出ても?」

「明日の夜発つから余り時間ないが。」

「どうして?丸一日あるじゃない?」

「明日も一日中君といたいからだよ。今夜のディナーに彼を呼び出そう。いいアイデアだろ?」

村田さんの知り合いの店へ行った。

「ジュデェス、あまりデイビッドを困らせない方がいいよ。」

「シュンも心配性だね、見かけに寄らず。」

「この店なら隠密でもオーケーだが、ホテルはそうもいくまい。」

「シュンも僕のエベレスト登頂に反対する?」

「いいや、君が凍って帰ってくるのを楽しみに待っている一人だ。」

「陰気な男だな。」

「留仁は?」村田さんが私に言った。

「・・・・・」私は返事をしなかった。

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