もっと甘く   ささやいて
「そうだろうな、何も言わずとも私にはわかる。」

「シュンはルーニーの瞳が読めるのかい?」ジュディスが村田さんに詰め寄った。

「読める。」

「どうやって?なぜわかる?」

「ジュデェス、今の君もわかる。」

「どうわかる?」

「どうしたら両方手に入れられるか、だ。」

私はジュデェスをにらみつけた。

「ルー、なぜ僕をにらむ?」

「留仁、答えなくていい。私が代わりに言ってあげよう。」

「シュン、なぜそこまでわかる?ルーの考えが?」

「彼女は私の社の大切なライターだ。誰が今何を思っているかは経験でわかる。ジュデェス、君は大きな過ちを犯したな。それが例えプライベートなことでも言わざるを得ない。これ以上彼女を追い込むとライターとしての社への利益にも響くことになる。」

「まさか、シリーズの著作権を買い戻すとか言う気?」

「そこまでは考えてない。ジュデェスの選択に任せるだけだ。留仁とエベレストのどちらを取るのか、本国へ帰ってからでも充分考えられる。」

「シュン、君は僕の命の恩人かもしれない。」

< 33 / 58 >

この作品をシェア

pagetop