もっと甘く   ささやいて
村田さんの最後の言葉はかすかにしか私の耳に届かなかった。

と同時に鳥肌が立った。

急に心臓がドクドクしてきて、私は自分がどうかしちゃったのかと思ったら余計ドキドキした。

「君のスケジュールを見たいが。」

「はい。」私はメモリを渡した。

私の持つ手に村田さんの手が軽く触れた。

一瞬ゾクリとして自分の体に電流が走ったような感覚がした。

「どうした?」

「いえ、何も。」いつもと違う自分に戸惑った。

「ありがとう。メモリは返しておくよ。そうだな、私なら休暇を入れると思う。この辺でだ。留仁、聞いているのか?休暇だよ。」

「いいのですか?休筆しても?」

「その代わり、休暇前に連載は二ヶ月分出してほしい。」

「わかりました。」

「休暇中も渡米できるだろ?」

「いいえ、それは考えていません。」

「ジュデェスが追って来ると思うが。」

「私も自分の好きな事をしたいです、休暇中は。」

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