もっと甘く   ささやいて
ジェフが迎えに来た。

「ルーニー、昼間もきれいだったが、今もすごくきれいだ。」

「ありがとう、ジェフ。」

「チャイニーズでもよかった?」

「ええ、大好きよ。」

「じゃ、何に乾杯しようか?」

「ジェフがヒース役を演じることに乾杯よ!」

彼の、両頬にえくぼができる笑顔と、好青年な雰囲気と、学者風なしゃべり方が印象的だった。

「ルーニーは恋人いる?」

「いいえ。」

「こっちにも日本にもいないのかい?」

「いないわ。」

「そうか、僕が立候補してもいいね?」

「ジェフ、私たちは今日会ったばかりよ。私はまだあなたのことを何も知らないし、第一、私は明日の便で帰国するのよ。」

「恋するのに、場所も時空も関係ないって、ヒースのセリフにあったよ。」

「フィクションよ。」

「現実は厳しいね。せめて今夜だけでも恋人同士でいたい、ルー?」

「わかった、今夜だけよ。」

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