もっと甘く   ささやいて
翌朝、私は一人で朝食をとった。

昨夜、弘子さんはホテルに帰って来なかった。

まさか朝までジェフと一緒だとは、その時も信じていなかった。

昼になっても戻らない彼女を心配した。

メールが入った。

『留仁、午後は部屋に戻るから心配しないで。弘子』

『よかった、待っています。留仁』

私はランチも一人で済ませた。

ホテルに戻ると、弘子さんが部屋にいたのでホッとした。

私からは何も聞けなかったので、黙っていたら彼女が言った。

「留仁、内緒にしてね。昨夜ジェフと一緒だったのよ。今までずっと彼と過ごしていたの。私を軽蔑する?」

「いいえ、プライベートですもの。」

「彼で溶けたわ。最高に満たされるって、こういうことなのね。女でよかったわ。私はいつも男だったらと思っていたから、ビジネス上でのことだけれど。」

ジェフがどれほど激しいか、弘子さんの口から漏れた言葉で確信できた。

彼女は何ともないのかしら?

私とは違うのかしら?

私はどちらかと言うとソフトなタッチで抱かれたいタイプだから、ジェフの抱き方は体にこたえた。

前回は消耗して帰国したのだ。

弘子さんにとってジェフは最高だったのだから、彼も私より彼女の方に満たされたはずだ。

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