もっと甘く   ささやいて
「シュン、君は彼女のマネージャーだろ?違うのかい?」

「デイビッド、私は今回仲介した出版社の者だ。マネージャーではない。」

「社への仲介料よりも高額な彼女のマネージャーとしてのサラリーに魅力を感じていないということか?信じられないよ。」

「私は出版社からきちんとサラリーはもらっている。」

「だから?彼女と契約をすればいいじゃないか?」

「デイビッド、君はわかってないな。日本じゃ無理なことだ。二重に雇用契約は結べないのだ。」

「シュン、ここは日本じゃないよ。何も問題ないよ。」

「大有りだ。もし私が彼女のマネージャーとして活動するなら、出版社に休暇を届けなければならないだろ?」

「届けを出せば済むのだろ?問題ないと思うが。」

「やれやれ、考え方の違いだ。とにかくこの件は無視するしかない。」

「デイビッド、私、英訳に目を通したいのです。可能でしょうか?」私は不自然な英訳を気にした。

「それこそ問題ないよ。このメモリに入っているよ。」

私はホテルへ戻り、自分のPCで早速チェックした。

修正を入れてもいいと言われたので、変な英訳を一つずつ直していった。

つい夢中になり、夕食の時間を逃すところだった。

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