しっとりと   愛されて
私は高価などら焼きをひと口食べた。

「どう?美味しいだろ?」

「うん、贅沢な味ね。どら焼きなのに高級ね。」

「そのスポンジにはさまれた餡も甘すぎず、俺でも全部食べられるよ。」

「孝二さん、今何て言ったの?」

「だから俺でも食べられるって。」

「その前に言ったことよ。」

「スポンジとスポンジにはさまれた餡が。」

「それだわっ!」

「何?」

「カットした溝に沿ってスポンジを張ってからシリコンを埋め込めばいいわ。」

「・・・・・」

「孝二さん、ありがとう。ルリルの下半身にメドがついたわ。」

「ルリル?」

「このフィギュアのネームよ。一体一体ネームをつけているの。」

「へぇ、それでどら焼きがヒントになったわけか?」

「そうなの。孝二さんのお陰よ。」

「そりゃよかった。君の寝不足の原因が俺だったら本望なんだが。」

「これからはそうなるかもしれないわ。」

「それは本当か?」

「約束でしょ?セフレでなく、あなたを私の恋人にするっていう条件だったわ。」

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