しっとりと   愛されて
彼女は有能なだけでなく、お色気たっぷりな女だということが、今日一日ではっきりとわかったからだ。

声もハスキーで、何かスポーツをやっていそうなしっかりとした体格で、スーツがビシッと決まっていた。

ヒールを履く脚は、スラリとカモシカのように均整が取れていて、タイトスカートが似合う腰に、くびれたウエスト、溢れそうなバストをがっしりした肩で吊っていた。

何もかもが私とは正反対だった。

孝二さんの秘書が香川女史だなんて、私耐えられないかも。

週末、孝二さんと過ごした。

「百合乃、マーケ慣れた?」

「今度出張に同行するようにって言われたわ。」

「どこ?」

「シカゴなの。」

「やれやれ、これからは以前のようにゆっくりデートできるかわかったもんじゃないな?」

「どうして?」

「俺のスケジュールは土日があってないようなものだからだ。」

「接待なのね?」

「専務のストレスが凄まじいものだったと、今頃わかっても遅いよ。」

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