しっとりと   愛されて
「君だけが俺を心から癒してくれるんだ。君にしかできない。このままずっと君に癒されていたい。」

私はただ黙ったままじっとしていた。

しばらく彼の胸の鼓動を静かに聞いていた。

孝二さんも専務と同じことを言った。

「私はいつでも孝二さんの中にいるわ。例え会えなくても遠く離れていても、想いは一つだって言ったじゃない?」

彼は何も答えなかった。

「今の孝二さんにはその想いだけじゃ支えきれないのね?だから会いに来たんでしょ?」

「百合乃、来なければよかった。」

「どうして?」

「来なければまだ抑えられたのに。」

「えっ?」

「今抱いたら、君は俺を嫌いになるかもしれない。」

「だから、どうして?」

「君が壊れるほどやっちまうかもしれないから。」

「いいわよ、私を壊しても。私の方がそうされたいって思うから。」

「俺が本気でそんなことをするわけないだろ?大切だから、何よりも一番君が大切だから。」

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