しっとりと   愛されて
私は渡米した。

「百合乃、25歳おめでとう。」

「ありがとう。」

「俺からのバースデープレゼントだ。」

「何かしら?」

「俗に言う、書類カバンだ。」

「素敵!孝二さん、ありがとう。嬉しい。」

「ベルトも付いているからショルダーにもできるよ。」

「完璧ね。」

「君のカバンはかなりくだびれているようだったから。」

「孝二さん、私今まで考えもしなかったけれど、孝二さんは何歳なの?」

「俺は32歳だ。」

「そうなの?全然知らなかったわ。」

「俺の歳に関心がないようだったから、あえて言わなかっただけだ。」

「ごめんなさい。関心がない以前に考えつかなかったの。私が孝二さんを想うことに歳なんて関係なかったの。それとも私に聞いて欲しかった?」

「いや、大したことじゃない。」

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