しっとりと   愛されて
私は週末を孝二さんと過ごす時、以前行った静かな入り江のコテージがすごく気に入ったので、もう何度もここへ来ていた。

「もうすぐ2年間の赴任が切れるだろ?」

「あっという間だったわ。2年前社長に帰国休暇をもらった時、本社に戻りたいかって聞かれたわ。」

「へぇ、君を社長秘書にしたいっていう話しだったんじゃないか?」

「私はあの時点で秘書はお断りしたし、2年経ってもこっちに残りたいとはっきり申し上げたのよ。」

「で、どうするんだ?辞めるのか?」

「まだ何も決めてないわ。」

「俺はもう2年こっちだ。」

「本当?」

私は彼をじっと見つめて思った。

彼のそばにいたい。

仕事はこのまま残るか、辞めて他を探すか迷っていた。

「君はどうしたい?このまま残る?」

「まだ決めてないわ。私以外は総入れ替えなんでしょ?香川女史も竹林秘書も?常務もおっしゃっていたわ。マーケも別の人材が来るそうよ。」

「そうか、スタッフもこっちの人間が多くなってきたようだし、俺の秘書も近日中に新人と交代するらしいよ。」

「金髪碧眼の美女だといいわね?」

「バカ言うなよ。完全無欠のパートタイマーだって言う話しだ。」

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