君のせい
放課後、
早くこの席から離れたくて、
HRが終わったらすぐに、リュックを背負いながら、
春奈の席に走った。
「なんか急いでんの?麻琴」
「いや、別に、そういうわけではないんだけど」
「ふ~ん」
春奈は不思議そうにリュックを背負った。
「帰ろー」
綾香もそばに来て、3人で教室から出ようとした時、
窓際一番前の席に、ずっと座ったままの宇崎さんが目に入ってきた。
帰らないのかな........
あ、そっか。彼氏待ってるのか。
私はまた前を向いて、
教室から出た。
階段を下り、下駄箱で靴を履きかえている時、
隣の下駄箱の女子が「紺野さん」と話しかけてきた。
「何?」
「今日、休み時間の紺野さん、かっこよかった」
かっこいいって.......
「かっこよくはないと思うけどな.......」
女子は首を振った。
「見ていた子はみんなそう感じたと思うよ。
それに、みんな一度は宇崎さんに言ってやりたいって思ってたから。
自分の行動を考えろって。
だって、あんなにかっこいい渡瀬君っていう彼氏がいるのに、
宇崎さんってひどいなぁって、私ずっと思ってたから」