君のせい
宇崎さんは、私の顔を見て切なそうに微笑んだ。
「みんな周りにいい顔したいよ、宇崎さんだけじゃない」
「えっ?」
私は窓の下の壁に背を持たれた。
「ただ、そのことで誰かを傷つけることになるとか、
誰かが悲しい気持ちになるとか、
そういうこともあるかもね。
私は、宇崎さんが羨ましいよ。
私は自分が思ったことを、相手にぶつけないと気がすまない。
じゃないと、いつまでもモヤモヤする。
もっと、宇崎さんみたいに女らしく控えめになりたいもんだよ」
へへっと、宇崎さんに笑いかけると、やっと宇崎さんがかわいく笑った。
「紺野さんっていい人なんだね」
えっ........
【お前、いい奴なんだな】
突然吉井の言葉を思い出して焦った。
「わっわっ、私?どこが?」
「紺野さんの強さは、誰かのための強さだから。
すごく、優しくていい人だなって思う」
優しい......私が?
「優しくなんかないよ」
「紺野さんは、優しいよ。
私に話しかけてくれたし。
ありがと、紺野さん」