君のせい




「お前ってなんか部活入ってんの?」


しばらく下を向いたまま歩いていたら、

吉井がそんなことを聞いてきた。



「入ってません。帰宅部です」


「だよな」


わかってんなら聞くなっ!!


あああ!なんかムカつく!いらいらする!むしゃくしゃする!!



なんでこんなにムカついてんのに、


なんでこんなにさっきからドキドキしてんだ、吉井に。



ドキドキして、意識し過ぎて、


顔も上げられないなんて。


私が私でいられない。


調子、狂わされている。


早く、家に着け........



こんなに早く家に帰りたいと思った帰り道は初めてだ。







ずっと下を向いたまま歩き、信号に着いたから、


そこで立ち止まると、吉井も立ち止まった。



駅へは信号で左に曲がらないでまっすぐに行く。


吉井はいったいどこから学校に来ているのだろうか。


自転車だから.......




「今日、ありがとな、鈴(すず)のこと」




鈴........




信号待ちの間、吉井が突然お礼を言ってきたから、


思わず顔を上げた。



鈴って.......宇崎さんのこと下の名前で呼んでいるんだ。




ドキドキしている胸の鼓動が、


一瞬で痛みに変わった。


ちょっと待て。



なんで私、こんなにショックを受けているんだろう.........





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