君のせい
●気になる
雨と傘
次の日の金曜日
朝、玄関を出るとぽつぽつと雨が降っていて、
傘をさしながら階段を下りた。
公園を通り過ぎ、雨に濡れたバスケゴールを見て、
なぜか切なくなった。
長い坂道を上り、しばらく歩いて、
信号を渡ると、右に曲がった。
そのまままっすぐ歩くと、左側に学校が見えてくる。
ひとりで傘をさして歩いていたら、キキーッといきなり隣に自転車が止まった。
「えっ???吉井???えっ???」
傘を上げて隣を見ると、少し髪を濡らした吉井が自転車から降りて、
私の傘に入ってきた。
「やべぇ、思ったより濡れた」
「えっ???ちょっと!!傘は?」
「ない」
「はあ?バカじゃないの???雨降ってんのに」
吉井はちょっとムッとして私を見下ろした。
「入れろ」
「えっ、嫌なんですけど」
こんな登校中の生徒たちの中で、
相合傘なんかするか!
「風邪ひいたら、お前のせい」
「はあああ?????」
とんだ、とばっちりだぜ!!
「勝手に風邪ひけっ」
「んじゃ、航太との約束どうすんだよ」
あ......それは困る。
しかたなく、ちょっと腕を伸ばして吉井の上に傘を差した。
すると、吉井はぐっと私に寄ってきた。
「ちょっと、あんま近づくな」
「しょうがねーだろ、離れたらお前が濡れんだろ」
「いいよ別に」
また腕を伸ばして離れようとしたら、
吉井がハンドルから片手を離して、私の肩を掴んでぐっと自分に引き寄せた。
「ちょっ」
「よかねぇだろ、てか離れんな」