君のせい
10時になり、
お母さんの傘を借りて、雨の中駅まで歩いた。
駅ビルに入り、春奈と綾香の付き合いで、
何度か入ったことのある洋服屋を見た。
どれがいいんだろう.........
「これすっごい人気で、この色はこの一着だけなんですよ~」
へっ。
お洒落で綺麗な店員さんに声をかけられ、
思わず一歩後ずさんだ。
黒のギンガムチェックのスカート。
おい、これ私に履けってか。
短すぎじゃないか。
かわいすぎじゃないか。
「これに、こんな感じの上を合わせれば、
かわいすぎなくて、いい感じになりますよ」
おや、確かに。
「試着してみます?」
「えっと........はい」
ちょっと、流されている感じがしたけど、
かなり不安だけど、
物は試しだ、着てみよう。
店員さんに促されて試着室に入り、
試着してみると、
いつもと違う、女の私が鏡に映っていた。
その後テンション高めの店員さんにお世辞を死ぬほど言われて、
そのまま流されて上下ともご購入。
店を出ると、どっと疲れが........
もうやだ。今度買う時は、春奈と綾香と一緒に行ってもらおう。
はぁ......疲れすぎた。
それから地下の食品売り場に行き、
お昼ご飯を買って、駅の外に出た。
まだ止まない雨。
明日雨だったら中止かな........
吉井、来ないのかな........
不安げに空を眺めてから傘を差そうとしたら、
下りのエスカレーターに制服姿の吉井が見えてびびった。
えっ、吉井?
吉井がエスカレーターから降りると、
後ろにいた綺麗な女が、
吉井の隣に並んだ。