君のせい
吉井は自分の傘を広げると、
私の家の方向へと歩き出した。
ちょっ、ちょっと、待て。
急いで傘を広げ吉井の隣に行き、
吉井が持った私の荷物を掴んだ。
「いいよ、まっすぐ学校行きなよ」
吉井はムッとした顔で私を見下ろした。
「あのさー」
昨日よりも弱い雨の中、
一緒に荷物を持ったまま立ち止まった。
「偶然お前に会えて、すっげーうれしいんですけど」
「えっ、えええ??????」
一気に体中の体温が、顔に集まっちゃって、
頬が熱くて、
ドキドキして、
バッと、荷物から手を離して下を向いた。
「なっ、何言ってんの???バカじゃないの???」
「もうさ、バカでもなんでもいいよ」
「はあ?????」
「だからさ.......おい、こっち向けって」
きっと今私、超顔真っ赤だ。
「無理」
「無理じゃねぇ、こっち向け」
唇を噛みしめながら、ちらっと吉井を見上げると、
吉井はまっすぐ、真剣な眼差しで私を見つめていた。
「俺はもう少しお前といたい」