君のせい
「雨だったら、航太も連れて俺んちくる?」
「へっ???」
吉井の.........うち。
「いや、そんな悪いし。航太も連れてなんて。
あ、でも航太がいたほうがいいかっ。
ちがっ、やっぱ家なんて、悪いし、えっと......」
おろおろとしていたら、
大きな手のひらをぽんと頭にのせられた。
「スカート」
なに????スカート????
頭に手をのせられたまま、吉井を上目で見ると、
吉井がぽんぽんと私の頭を優しく撫でた。
「楽しみにしてる。じゃあな」
笑いながら私の前髪をくしゃくしゃっとしてから、
吉井は学校の方へと歩き出した。
スカート
楽しみにしてる
えぇぇぇ.............
傘を差したまま、
吉井の背中をじっと見つめて動けなくなってしまった。
あんなに明日晴れろーって思っていたのに、
今は、このまま雨が降り続いてもいいやって思ってる。
だって、吉井のうちに..........
どんどん小さくなっていく吉井の背中とは逆に、
私の心の中でどんどんふくらんでいく、吉井への想い。
「早く明日になればいいのに」
絶対に吉井に聞かれたくない言葉を、
ひとり言のようにつぶやいた。