君のせい
部屋のドアの向こうから航太がさっきからせかしてくる。
まだ早いっての!
ここから公園まで5分もかからないんだからさぁ。
ていうか、これおかしくないかな.........
さっきから小さな手鏡で自分の顔を眺めては、
自分の体を見てを繰り返している。
いつも結わっている長い髪を、
今日は下してみた。
昨日買った短丈のプルオーバーに、ギンガムチェックのスカート
リュックを背負って、部屋のドアを開けた。
「航太、男として答えろ。
今日の姉ちゃん、どうだ」
航太は、口をあんぐりと開けて固まった。
「やっぱ、おかしいか.......」
リュックの肩紐をぎゅっと握りしめて肩を落とした。
「姉ちゃん」
「ん?」
「まぁ、がんばれよっ!!」
へへっと笑って、階段へと走り出した。
頑張れよって.......どういう意味だちきしょー。
はぁ、とため息をつきながら航太の後を追いかけた。