君のせい
「あぁ、類は2年前、高1の夏休み」
そんな...........
「どうして?」
吉井を見上げると、吉井はまっすぐお兄さんの顔を見つめていた。
「トラックに引かれたんだ。類も突然いなくなった」
【お前の気持ち、わかるよ】
だからあの時..........
「航太、もうひとりのお兄さんに挨拶するよ。
お兄さんの服借りてるし、ゲームも借りるんでしょ?
ちゃんと挨拶しよう」
航太の腕を掴んで、和室に入り、
仏壇の前に正座させて、その隣に私も正座した。
吉井も入ってきて、仏壇のロウソクに火を灯した。
「こうやって.......」
吉井は、航太にお線香の上げ方を教えてくれた。
私が手を合わせると、航太も真似をして、
二人一緒に目を閉じた。
目を閉じても、なんてお兄さんに声をかければいいのか、
わからなかった。
はじめまして。
お邪魔してます。
弟が服とゲームを借ります。
そんなありきたりな言葉しか思いつかない。
知らなかった。
吉井のお兄さんが、亡くなっていたなんて。
私のお父さんと同じように、
突然目の前からいなくなってしまったなんて。
吉井も私と同じ経験をしていたなんて、
知らなかった。