君のせい
目を合わせていられなくて、下を向いた。
「だって、吉井はかわいい宇崎さんが好きだったじゃん。
あんなに綺麗な幼なじみが好きだったじゃん。
私は、かわいくもないし綺麗でもないし.........
吉井が私を好きになるわけないじゃん」
こんなの、嫉妬と僻み以外の何物でもない。
嬉しいのに、
すごく嬉しいのに、
怖くて、
自信がなくて、
素直に喜べない自分が、
ひどすぎて.............
「麻琴」
下を向いていたら、吉井に名前を呼ばれて、
また胸がきゅんとした。
初めて名前で呼んでくれた...........
「顔上げろ」
唇を噛み締めながら、顔を上げると、
真剣な表情の吉井が見えた。
「好きだ」
まっすぐな眼差しで私を見つめて、
また好きだと言ってくれた。
私だって..........
「お前のそういう素直じゃないところも、
弟想いで、正義感の強いところも、
亡くなった親父さんのことをずっと想っているところも、
全部........好きだ」