君のせい
下を向いてぼそっと答えると、
吉井の綺麗な指が伸びてきて、私の顎をそっと持ち上げた。
真剣な顔でじっと見つめられて、
少し目線が下にそれたと思ったら、
ゆっくりと顔が近づいてきた。
「なっ、何すんの.......」
思わずふっと顔を横にそらすと、
両頬を手で包まれて、また前を向かされた。
「なんだよ、言わせんなよ」
吉井はちょっとムッとして、また顔を近づけた。
「こっ、こんなとこで......困る........
患者さんがいつ出てくるかわかんないし、
来るかもしんないし........」
吉井はそっと頬から手を離すと、周りをぐるっと見渡して、
私の腕を掴んで、玄関に続く階段の裏に引っ張っていった。
街灯の灯りの届かない、暗い階段裏。
家の壁の前に私を立たせると、
吉井が私の顔の横に手をついて、
また顎をくいっと持ち上げた。