呪いのブレスレット
覚えているのはそこまでだった。

ピピピピピ……ピピピ……

目覚まし時計の音であたしは目を覚ました。

目が覚めた途端に、なんとなく目覚めが悪い。

身体が思うように動かない。

身体を起こし、目にかかる髪をかき上げようとしたとき――

「!!」

叫び声にならない声を上げる。

あたしの左手首に血の塊のようなどす黒いブレスレットがあったのだ。

慌てて手首から外して、ベッドの上に放る。

今までよりも更にどす黒さが増した気がするブレスレット。

「どうして? どうして箱の中に入れたはずなのにっ!」

あたしは転がるようにベッドから降りて床に足をつけると、しゃがんでピンクの箱を引き出す。

乱暴にふたを開けると、やはりそこに昨日しまったはずのブレスレットはなかった。

自分の顔が引きつっていくのがわかる。
< 75 / 216 >

この作品をシェア

pagetop