呪いのブレスレット
「気分は良くなったか?」

翔平はベッドの端に腰をかける。

「うん。ごめんね。心配しちゃった?」

真剣な表情の翔平に茶化すような笑みを向ける。

「当たり前だろう? 俺が同じクラスだったらと、健人に抱きかかえられて出て行くのを見て悔しかった」

翔平の指があたしの頬をそっと撫で、顎にかかる。

「翔平……?」

翔平の顔が傾きながらあたしの顔に近づいてくる。

びっくりして固まったままでいると――

「はいはいーそこの男子高校生、保健室で盛んないでねー」

いつの間にか保険医の今井(イマイ)先生が立っていた。

翔平は弾かれたようにベッドから立ち上がり、照れたように後頭部に手をやる。

今井先生はケラッと笑い、あたしのところまでやって来る。

「気分はどう? 貧血だと思うけれど、一応病院へ行って検査してもらった方がいいわ。今日の部活はなしでね」

「はい。ありがとうございました」

あたしも恥ずかしいけれど、サバサバした今井先生のおかげで今の出来事を無視できる。

翔平とキスしたことはあるけれど、こんなシチュエーションではなかった。

すごく切なげな瞳で、あたしの心臓はドキドキした。

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