Eternal Silence



意識が遠のきそうだな……。


ベッドに持たれたまま、
籠の中に詰め込まれた
生活用品を
次から次へと取り出していく。


高そうな、シャンプーにリンス。
トリートメント。


トリートメントなんざ、
自慢じゃねぇが、生まれてこの方
使ったことなんてねぇよ。


ボディーソープに、入浴剤。

洗顔フォームに、
髭そり用のジェル。

電動髭剃りに、肌水。

髪用のムースに、
ドライヤーまで。


どんだけ出てくんだよ。


半ば毒づきながら、
何処かで、この温もりが
懐かしくて……。


それぞれをそれぞれの
所定位置に片づけて、
浴室でシャワーを浴びる。


まっさらなバスタオルで体を拭いて、
衣装ケースの中から、
Tシャツとトランクスを取り出すと、
素早く身に着けて、
最後のプレゼントに手を伸ばす。
 

紙をゆっくりと解き放つと、
そこには、
真新しいカッターシャツの半袖が
三枚姿を覗かせた。

五本のネクタイと共に……。



それらをクローゼットに納めると、
今度こそ、疲れた体を
ベッドの中に沈めた。



翌日、真新しいシャツに袖を通して
ネクタイを締めると、
朝食の後、研修初日に臨む。



本格的に
始まる新しい生活。



そして、この時のオレは……
この数日後に起こる、
運命の再会を知る由もなかった。

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