Eternal Silence



「嵩継さん、
 海斗さんが飛び降りた後から、
 僕ずっと考えてたんです。
 
 海斗さん、
 嵩継さんも千尋も
 居ないときにこんなこと
 僕に言ったんです。

 『自分が生き続けることが
  好きな奴を苦しめて
  追い詰める行為だとしたら
  お前はどうする?』って」




 『自分が生き続けることが
  好きな奴を苦しめて
  追い詰める行為だとしたら
  お前はどうする?』



アイツが
そんなこと言ってたのか……。



他の誰でもない
……勇人に……。




「僕はあの時、こう答えたんです。

 『僕の存在が
  大切な人を苦しめるだけだったら、
  僕は黙って姿を消します。

  その後はどうするかはわからないけど、
  姿を消して
  もう会わないようにするかな……』って。
 
 だから僕も海斗さんの自殺未遂の原因を
 作っちゃったのかなって。
 
 だけど、それが僕の正直な気持ちだから
 僕は偽ること出来なかった。

 でも……その後もずっと考えてたんだ。
 
 海斗さん、
 どうしてそんな質問したんだろうって。
 
 それで僕なりに答えを見つけた。


 例えば僕がもう少しで
 亡くなるのがわかってたら、
 僕は千尋の為に何が出来るかなって
 考えると思うんだ。

 自分だけの気持ちを
 強く持ち続ければ、
 どけだけ迷惑かかっても
 最後まで一緒に居たいって
 望むかもしれない。
 
 でもそれを望み続けることで
 千尋が苦しむことがわかってたら、
 僕は最初から
 その選択肢を抹消するだろうなって。
 
 その上で出来ることを考える。


 そうやって辿りついた答えが
 ……僕の回答。
 
だから多分、海斗さんは嵩継さんの為に
 屋上から飛び降りたのかも知れない。
 
嵩継さんが苦しみ続けるのを
 見たくなくて……。

 それに一緒にいる時間が
 長ければ長いほど
 最期の時が来たら
 悲しさも深くなるから
 ……だから……
 早く嵩継さんを
 解放して
 終わらせたかったのかも
 知れないって」



勇人の言うとおり、
海斗の自殺行動が
オレの為にされたものなら
それこそ……オレは……。


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