Eternal Silence
病院の建物を離れて、
裏にある大きな白亜の洋館へと近づく。
その建物の中に入っていく。
リビングでお茶をする白衣の人と、
女の人。
そんな白亜の洋館をふらふらと彷徨うと、
その建物の一室、院長の息子だと名乗られた
千尋と言う青年の部屋を見つけた。
眠り続ける彼の元を邪魔しないように離れると、
一階まで一気に壁を抜けて降下する。
降下した先、一階の一室。
そこで俺はピタリと動きを止める。
ベッドサイドの向かい側。
高さのある机に飾られているのは、
アイツのなくなった両親の写真。
アイツの母親の位牌。
写真の中で微笑む、
おばさんを見つけて、
思わず……位牌に向かって、
手をあわせる。
そんな光景は、なんだかとっても
不思議な感覚で……。
ふいに車のエンジンの音が
近づいてくる。
聴きなれたその音に、
思わずその部屋から外へと飛び出す。
飛び出して眺める先、
嵩継と勇人って子が、
アイツの愛車から姿を見せた。
時折、唇の端を気にするように
指先を添えながら、
玄関に向かって歩いて行く嵩継。
「嵩継っ!!」
触れたくて、抱きしめたくて
アイツに近づくものの、
触れることが出来ない俺の手は
アイツをすり抜けていくだけで。