Eternal Silence
音楽雑誌に、バイク雑誌。
経済誌。
週刊誌。
サッカー誌。
ペラペラとめくりながら、
過ごす時間。
いつもは退屈なだけの時間で
焦ってばかりの時間だった。
そんないつもと変わらない時間すら
今は凄く優しく感じられる。
屋上から飛び降りた時、
これで全てから
解き放たれると思ってた。
だけど……実際は違った。
俺が居るから、
嵩継が苦しむんじゃない。
どっちにしても……
アイツは同じように苦しむなら
せめて、その苦しみが「優しさ」に代わる
そんな想い出の時間が刻めたら
そうやって思えた。
そうやって思えるようになったのは、
嵩継に懐いてる、
この病院の院長の息子の一人が
病室を訪ねてきたから。
そう……。
彼と最初に出逢ったのは、
前回の退院の日。
嵩継が運転手に召喚した
あの日が最初の出会い。
もう逢うこともないと思ってたのに、
今回の入院で、
彼・勇人が病室を訪ねるようになった。
最初は狸寝入りを決め込んでいた
俺も、何度も何度も訪ねてくる
勇人に対して、徐々に興味がわいて
ある日、声をかけた。
『なんかよう?』
『あっ、起こしてしまいましたか』
『別に。起きてたからいいよ』
話しかけると、
それなりに返事は
帰ってくるソイツの中までは覗けない。
俺にとってのソイツは、
くえねぇやつ。
それが第一印象。
だけど……
何処か似たような
空気を感じた。