Eternal Silence


「あらっ……。

 たんこぶ」


小さく呟いた
母親の声を聞き逃さなかった俺は、
打ち付けたのが
頭ということもあって、
近所の病院へと電話をした。


最近の病院は、
初診が門前払いの場所が多い。


第二次だか、
第三次救急だか知らないが
医者が患者を選ぶ世の中だからな。


とりあえず、スマホでサクサクっと
検索して出て来た病院へ
そのまま発信する。


鷹宮総合病院。


その病院は、
すぐに、
おふくろの受け入れを承諾。


そのまま、俺は
おふくろをタクシーに乗せて、
その病院へとやってきた。


平日と言うこともあり、
大勢の患者さんで
ごった返す病院のロビー。

何処からか聞こえてくる
パイプオルガンの音色。


おふくろを、ソファーに座らせて
総合受付で手続きを済ませると、
受付に連絡が入っていたのか、
スムーズに救急外来の方へと
案内される。



おふくろと共に診察室に入り、
医者と言葉を交わすと、
おふくろは、
看護師に車椅子を押されて
検査室へと向かっていった。



その場所へ向かう最中、
俺はアイツに
良く似たヤツとすれ違った。



アイツに良く似たヤツは
白衣を身に着けて、
忙しなく院内を駆けずりまわってた。


正面から顔を見てやろうと、
アイツを追いかけるものの、
すでにアイツの姿は
何処にも見えなくて
俺はおふくろの居る
検査室の方へと向かった。


検査室の前のソファーに
座って待っていたら、
暫くして、車椅子に押された
おふくろが姿を見せる。


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