Eternal Silence




「なぁ、嵩継。
 
 あっちに出来てる新しい建物なんだ?」



ベッドから窓越しに遠くを見つめながら
紡ぐ海斗。




「ケアセンターって言うらしい。

 鷹宮院長とその親友たちの想いが沢山詰まった
 場所らしいぞ。


 患者さんの心を守るための
 そんな空間らしい。


 院長が……言ってた。


 良かったら、正式に施設がOPENする前に
 海斗にそこで過ごしてみないか?って」










その意味がわかるだけに、
伝えるのは勇気がいったけど……
アイツはオレの危惧なんて気にせずに
言いやがった。




『いいなっ。

 俺も癌が治ったら……
 その場所で過ごせたらいいな』









海斗の前に広がるのは……
骨肉腫に打ち勝ったアイツの未来。





「あぁ、そうだな……。

 癌が治っても、
 お前……寝たきりだもんな。

 ケアセンターに来い。
 そしたら、
 そこでもオレが毎日押しかけてやるから」

 





アイツの短い未来を
感じながら……アイツの嘘に寄り添った瞬間。








だけど……それは同時に、
アイツ自身が自らの嘘に
オレを引き入れてくれたことを
強く実感した。 










ゆっくりと最期の瞬間が忍びよる
二人の時間。







オレは……アイツを
穏やかに旅立たせてやりたい。









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