Eternal Silence
22.発熱 -海斗-
手術から数日後。
俺自身が望んで、
本格的に始まった化学療法。
毎日……
体内に流れ込む点滴。
ソイツは諸刃の剣でもあるらしく、
毎日のように採血される朝。
点滴は三週間集中して行い、
少しあけて、また三週間の連続投与を行うのだと
嵩継と主治医は告げた。
抗がん剤は髪が抜ける。
TVや本なんかでも、
そう言う状態になるのは
俺も知っていた。
抜け落ちていく髪を見ながら
嘆く俺自身ってのを見たくなかったら、
スパっと、
おふくろにバリカンで丸めて貰った。
そんな俺の頭を見て、
嵩継は……『あの頃みたいだな』っと
高校時代を思い出しようだった。
高校時代、後にも先にも
頭を丸めたのは一回だけ。
アイツが活躍してた、
サッカー部に入部したいがために
計画的犯行で頭を丸めた。
サッカー部の顧問は、
オレが一年の時に、ボコボコにのして
教師が授業拒否したほど、因縁深いヤツだったから。
ソイツに詫びを入れて、
アイツの隣で走るには、
それくらいのことをしなきゃ伝わらないと思った。
「なんだよ、お前もする?
今なら、
おふくろが丸刈りしてくれるってさ」
「あぁ、オレ?
オレは勘弁。
この癖毛がたまんねぇーって言う
ばあちやんが居るからなー」
「そんな寝癖の何処がいんだよ」