Eternal Silence







総合病院から、真新しいケアセンターに
移された俺の生活は一転した。




ケアセンターには、
朝の強制的な日課である、検温がなくて
起きた時点で、スタッフを呼んで体温を測る。




食事も……食べれる状態であれば、
望んだ食事が、運ばれてくる。





治療行為は一切行わられず、
痛みを和らげる薬だけが処方された。




この場所で……寝起きする生活は、
家に居る時に近い状態で過ごせるので、
自然に自分らしく在れた。




一時期はベッドから動くことが出来なかった俺も、
今では……嵩継たちの力を借りないと移動は出来ないながらも、
ベッドの上ではゴソゴソと動けるように落ち着いた。





「井津さん、
 車椅子でお散歩されますか?」



ケアセンターで働く介護スタッフの一人が、
車椅子を押しながら部屋に顔を出す。



「お願いします」

「おっ、散歩行くのか?
 今、昼休みだから少しだけ付き合ってやるよ」




病院から陸橋を渡って、
ケアセンターに顔を出した嵩継は、
俺を抱え上げると、足で引き寄せた車椅子に座らせる。



脊髄をいわしている俺には、
こうやって座ることすら、簡単なことじゃなくて。

体を支える為に、車椅子につけられたベルトで
うまく体を固定させていく。


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