Eternal Silence


俺の頬に、
激痛が走った。


掌の後が、
くっきりくっついてんじゃねぇかってほど
はつられた。


そしてアイツは言ったんだ。


『てめぇ。
 
 おふくろさんの
 気持ち考えたことあんのか?』って。



それ以来、
おふくろに対する
心が少しずつ動き出した。


決定的に変わったのは、
アイツの母親の死を知ったその日。


知っているようで、
知らなかった、
命の重みを突きつけられた。



それ以来、
親孝行を意識して動くようになった。



あくる日、早朝から
市場へと仕入れに出掛けて一度帰宅。

夜からの下準備を
終わらせた日中。


おふくろに断りを入れて、
俺はバイクにまたがって
あの病院へと走らせた。




広い病院内。



アイツの姿を求めて、
探し回るも、
アイツの姿は何処にもない。



来る日も来る日も、
ストーカーかよっと
自分自身に突っ込みを入れながら
仕事の合間に、
病院に通い続ける。


この場所だけが手掛かりなんだ。




これまで、
どれだけアイツを探しても
見つけられなかった。



縋るような思いで、
通い続けた病院。



一週間がすぎ、
二週間が過ぎようとしている。



今日を最後にしよう。



そう思ったその時、
病院内のアナウンスが
懐かしい苗字を告げる。



「安田先生、安田先生。
 
 至急、外科病棟
 ナースステーションまで
 お越しください」



慌ててその場所を目指して
走っていく。


途中、怖い看護師さんに
『病院内は走らないでください』
なんて睨まれながら……。
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