Eternal Silence
短編集
願い星
★
空を見るのは好き。
氷夢華の家の
裏庭にテントを張って、
ゴロリと空を見上げる。
そんな時間が……好きだった。
*
「たかお兄ちゃんっ!!」
嵩継の家の隣、
アイツにベッタリのチビが
家の中から飛び出してくる。
そんなチビをしゃがみこんで、
ギュッと抱き寄せたアイツは
そのチビの柔らかい髪をワシャワシャと
撫でつけた。
「もうっ。たかお兄ちゃんのバカ。
そんなことしたら、氷夢華の髪が
ぐしゃぐしゃになるでしょ」
必死に睨みつけるように嵩継に立ち向かうも、
チビはアイツの身長の半分くらい。
「悪かった。悪かった。
氷夢華、小父さんと小母さんいるか?」
嵩継は、チビをそうやって宥めながら
チビの家の中に入っていく。
嵩継がチビの親と話している間、
家の中から飛び出してきたチビが
俺の足を靴越しに踏みつける。