Eternal Silence



「千尋。

 自宅の方にも、
 マスコミらしい姿が確認できたよ。

 リズママを一人にはしておけないから」


「院長夫人を休める部屋へ」




すぐに僕たちの方に、
水谷さんが近づいてくると
看護師たちに指示を始める。




「千尋、
 病院内の警備体制を整えないと。

 水谷さん、僕と動いてくれますか?」



そういうと勇人は、
水谷さんと二人で警備の手配に動き出した。





その直後、処置室から
ストレッチャーに乗せられた
嵩継さんの友達が姿を見せる。





「お父さん」

「今から手術に入る。

 手術が終わるまで、
 院内の事は頼んだ」







伝え終えると共に、
お父さんたちは、
エレベーターの中へと乗り込んだ。






「各、病棟のスタッフさんたちは、
 お手数ですが、入院患者さんたちのケアを
 お願いします。

 事務長、顧問弁護士に連絡を」






お父さんに任された病院。




今、僕が出来ることを少しずつ
やっていかないと。





真っ暗な病院の廊下を一人歩いて、
玄関の方へ向かっていく。




救急入口・正面入り口の前には
マスコミの人たちが
フラッシュをたきながら、
中に罵声を浴びせていく。






昔と同じだ……。




昔も芸能人が救急搬送された時、
病院内が凄く騒がしくなった。





今回がその時と違うのは……
今回は病院側の管理責任を
問われると言うこと。






いろんなことが
脳裏に浮かんでは、
心の中に重くのしかかっていく。







ガラスの扉をゆっくりと、
開くと、僕は正面玄関から出て
マスコミの前で
静かにお辞儀をする。

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