Eternal Silence
3.遠ざける心 運命の悪戯 - 嵩継 -
海斗の連絡先を、
水谷主任から受け取ったあの日から、
3か月と少し。
季節は夏から秋へと移り変わる。
夏の暑さが、涼しさ、そして肌寒さへと
移り変わる中、
オレの研修期間も順調に時を刻んでいた。
来たばかりの頃は、
鷹宮邸の暮らしに、
戸惑うことばかりだったが
今では、その暮らしにも馴染
体力を鍛えなおすため、
日々のジョギングも日課とした。
出掛けるのに、
車がないと不便だろう。
車なんぞ、
縁がない暮らしをしていたオレの元に
初めて届いた愛車は、
指導医・城山さん経由で譲ってもらった車。
何でも走り屋さん仕様になってるらしい
その車は、販売もしてない改造車。
青のシルエイティー。
シルビアとワンエイティーの車を
取り込んで改造された
その車を相手の車の買い替えがきっかけで
破格の値段で譲り受け、
その車は、鷹宮邸の駐車場の片隅に
勇人君や千尋君の車、
クラウンと共にとめられている。
ここに来てから、
オレの生活アイテムは
確実に増えている。
あんなに持つことに
躊躇っていた携帯電話すら、
院長に手渡されて、
所持している。
まっ、持つ習慣がないオレにとっては、
不携帯になることもしばしばで、
その度に、怒られはするんだけどな。
今日も早朝5時。
オレの朝の訪れの目覚ましが
携帯から流れて、
布団から這い出す。
洗面所の冷たい水で、
バシャバシャと顔を洗い、
着替えを済ませると、
鷹宮邸を飛び出して、
周辺をジョギングする。
冷たい空気を
胸いっぱいに吸い込んで、
軽快なリズムをキープしながら
走りこむと、
近所の公園でストレッチ。
その後、また鷹宮邸へと
リズムよく腕をふりながら
帰宅する。
携帯をかざして、
指紋と網膜の照合後、
玄関の扉をゆっくりと開く。
ジョギングに出たときには、
まだ誰も居なかったダイニングに、
リズ夫人の姿が確認できる。