Eternal Silence



ムカツイタ俺は、
ベッドを囲むカーテンを
シャーっと引くと、
そのままベッドに倒れこんだ。



足音は、
ようやく近づいてきて
カーテンを潜って、
アイツが姿を見せる。


当たり前のように、
ベッドサイドの
パイプ椅子に
腰掛けて、ポケットの中から
本日の戦利品を取り出す。


「海斗、
 どれ食う?」


ビスケットに
チョコレートに飴玉。

一口サイズのカステラ。



話しかけながら、
アイツはカステラを取り出して、
一つ、口の中に放り込む。



その途端、
むせやがるし。



慌てて、
冷蔵庫に突っ込んである
缶珈琲のブラックのプルタブをあけて、
差し出すと、一気に飲み干して

「甘くねぇ」っと来た。



「ブラック珈琲が甘くて、
 どうすんだよ」



思わず、声を荒げると
いつもの看護師さん、
そう、あの時のボスキャラが

「そこ、静かにっ!!」

なんて険しい顔して
入り込んでくる。






それでも……
離れていた6年を思えば、
アイツと過ごす時間は
結構、楽しくて。



痛みがとれてからは、
流れる様に過ぎていく。




ベッドの上の生活から、
やがてリハビリが始まって、
普通に歩けるようになった頃、
俺の退院の日が決まった。




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