Eternal Silence
お姉さんの後から顔を出すのは、
髪がボサボサの嵩継。
をいをいっ。
お前さ、もう少し身だしなみ
気を遣えよ。
曲がりなりにも、
お医者様だろうが。
「おぉ、海斗どうした?」
「オマエひでぇ顔」
「まだマシだろ。
日勤とER、二日続けて
今も日勤な。
外来終って、午後からオペ室入って
終わって戻ったところなんだよ。
つーか、腹減ったぁー。
この時間、売店行ってもまともな飯ないしな」
「ほらよっ」
嵩継の前で弁当
チラつかせると、アイツのお腹は
素直にグーっと反応してみせた。
その場でスタッフルームの方に戻って、
声をかけるとアイツは俺の手から弁当を奪い取って
病院の中庭へと歩いて行く。
太陽の光を浴びながら、
ベンチに座ったアイツは
嬉しそうに弁当箱をあける。
「うまそぉー。
頼むから最後まで食べさせてくれよ。
呼び出しなんか、来るなよ」
なんてブツクサ呪文のように呟きながら、
次か次へとブラックホールに収納していった。
「安田医師、今ご飯たべてるの?
早食べな」
「あぁ。
うまいぞ、コイツの飯。
コイツ、高町の商店街の入り口で
店やってんだ。
また行ってやってくれ」
なんてチャッカリ俺の店の宣伝も
話しかけられた、おばあちゃんに、おばちゃんに。
次から次へと返事していく。
そんなやりとりを見ながら、
過ごしてる間に、
あっと言う間に
嵩継は弁当の中身を平らげた。