Eternal Silence
「ただいま」
そう言うと、
早々に洗面所で手洗いを済ませると
別館の三階へと上がっていく。
オレも後を追うようにして、
最上階を目指した。
階段を昇りながら、
この別館の二階・三階には
一度もあがったことがなかったことに
今更に気が付く。
二階は確か、勇人の空間だったな。
「嵩継さん、どうぞ」
先に三階へとあがった千尋君が、
一つの扉を開いて、
オレを招き入れる。
「僕も全部資料があるわけじゃないから。
ここになかったら、母屋の二階にある
お父さんの書斎を見てみるといいですよ。
じゃ、僕隣で着替えてから、
前に顔出してきます」
カタンとドアが閉まったのを受けて、
本棚にぎっしりと詰められた、
専門書に視線を走らせていく。
気になる本を数冊、借りると
そのまま千尋君の書斎を後にして、
自分の寝室に放り込んだ。
そのまま外に出て、
海斗の自宅へと車を走らせる。
入院の為に必要なセットと、
昼に来た時よりも、
少し病状が悪化してそうな
おばさんを説得して、
一緒に車に乗せると、
再び鷹宮へと戻った。
おばさんの部屋もとって、
休んだのを確認して、
再び、アイツの病室に顔を出す。
借りていた鍵を、
ベッドサイドに置いて、
ゆっくりと病室を出て行った。
鷹宮邸に戻った時には、
22時をまわってた。