Eternal Silence

11.告知の行方-嵩継-




「安田、どうした?
 さっきからボーっとして」

「あっ、すいません」

「出津君のこと聞いたのか?」



海斗の事?


「えっ?
 海斗の事って……」

「海斗?
 あぁ、確か出津君は
 君の後輩にあたるんだったな」

「はい」

「若いのにな、
 神様って奴は
 残酷な試練を与えるな」


成元御大の言葉が
オレの不安を駆り立てる。





『神様って奴は
 残酷な試練を与えるな』




どういう意味だよ。


オレは慌てて
自分のノートパソコンに
IDとパスワードを入力して、
出津海斗で
検索をかけてカルテを呼び出す。


呼び出した
カルテを見て絶句する。

そこには、アイツが
2週間で受けた
検査結果が記されていた。


怒りに任せて
握り拳で
自分のデスクを叩きつける。

悔しさと怒りに
体が震えていくのを感じる。


「安田、
 まだ知らなかったのか?

 そうか。
 安田もこの一週間は
 大変な時間だったからな」


海斗の膝の状態を
撮影したX-Pの画像は、
肉腫の影を膝で捉え……
病理組織学的診断の結果が、
悪腫であることをさしている。



「アイツの骨、
 膝の方も脆くなってたんですね」


 
御大は
語尾を濁す。


骨肉腫。

局所で大きくなり
骨を壊すと
周りの筋肉を押し広げて、
進行スピードはかなり早い。

転移は
肺に多く
骨・肝臓・リンパ節に見られる。

二年以内に
転移を起こす
確率が高かったはずだ。



そして御大の一言で
アイツの病名を知った
その日のカンファレンス。
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