Eternal Silence
その玄関から進んで案内されたのは、
別館らしき建物の一階。
その一室の部屋の扉が開けられて、
荷物が運び込まれる。
「こちらが嵩継さんが
生活する部屋になります」
黒髪の勇人が、
荷物をおろして告げる。
そう言われたその場所には、
家具が殆どなく、
ベッドのみ。
それでも……
オレには十分だったのに……
琥珀色の髪の少年が
サラリと衝撃が走る言葉を続けた。
「嵩継さんは、
別館一階のフロアーの三部屋を自由に
使ってください。
父からそのように聞いています。
僕は三階の最上階。
勇人は二階フロアーで生活しています。
食事は一階母屋の、
リビングダイニング。
母も待ってると思いますから、
今からリビングに案内します」
マジかよ……。
この一階が
オレのフロアーだと?
リビングに向かいがてら、
残り二部屋のドアを
開け放って覗き込む。
一つの部屋には、
デスクにPC。
そして本棚。
もう一つの部屋には、
テーブルに、ソファー。
TVにコンポ。
呆気にとられて、
立ち尽くすオレの背中を
ツンツンとつつく指先。
我に返った時に、
視線が合った千尋くんは、
不思議そうにオレを覗き込んだ。
「どうかしましたか?」
「あっ、悪い」
それだけ短く答えると、
観念するようにドアを閉めて、
二人の後をついて行った。
別館から母屋へと入ると、
シャンデリアが輝く
リピンクへと入る。