Eternal Silence




「はいっ。

 嵩継君、焼肉丼よ。
 
 お休みなら、
 ニンニク入ってても大丈夫でしょ」




すぐにテーブルに
ご飯を運んできてくれた
おばさん。





「……おばさん……」

「大丈夫よ。

 嵩継君や、上村医師が居てくださるもの。

 嵩継くんの大切な同僚さんたちが
 海斗の為に頑張ってくれてるもの。

 だから、おばさん、
 海斗は助かるって信じてるのよ。

 海斗の足を切断しないといけないって言うのも
 上村医師から知りました。

 この家も、お店もバリアフリーにしないと。

 あの子の病院代も、頑張って稼がなきゃね」





そう言いながら、ゆっくりと吐き出すように
声を出し続けるおばさんの瞳から流れ出る涙。





「……ごっ、ごめんなさい……。

 私、もう泣かないって決めたのに……。


 だって海斗は、生きてるもの」






崩れ落ちたおばさんを抱え上げて、
背中をさすりながら、
涙が落ち着くのを待ち続ける。





「おばさんもちゃんと、
 通院してくださいよ。

 
 肝臓、甘くみたらヤバいですから」


「そうね……。

 ホント、そうよね。
 嵩継君の前で、
 おばさんも無理は出来ないわね」

「ですよ。

 んじゃ、頂きます。
 後で仕込手伝いますよ。

 居酒屋レベルですけど」



そう言いながら、おばさんが作ってくれた
スタミナ焼肉丼をペロリと平らげて、
夜のお店の為の仕込を手伝う。



そのまま夜の仕事が終わるまで、
手伝い続ける予定だったのに、
おばさんに断られて、
しぶしぶ鷹宮邸へと戻った。




「ただいま戻りました」



リズ夫人に挨拶をして、
自分の部屋へと戻る。



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