Eternal Silence


そこには、
大きなグランドピアノがドーンと存在感を放ち
バカデカイTV、
そして洗練されたヨーロッパ家具が並ぶ。

クリスタルの大きなテーブルを囲むように
配置された革張りのソファーに座って、
ティータイムを過ごす、
この家の主人と、夫人。



「あらあら。

 初めまして、
 今日から一緒に生活をする、
 鷹宮雄矢の妻、鷹宮リズです」



千尋君と同じ髪のその人は、
柔らかな眼差しで、
にっこりと微笑みかけた。



「安田嵩継です。
 こちらの院長先生にお誘い頂けて
 研修させて頂きます。
 快く居候までさせてくださって
 本当に有難うございます」


緊張しながらも、
何とか挨拶を終えると、
リズ夫人は、微笑み返して
こう告げた。


「今日から、嵩継君も
 私たちの家族よ。

 雄矢さんが見込んだ方だもの。

 どうぞ、
 研修を頑張ってくださいね。

 私も食事とか、色々なこと
 息子同様にさせて頂きますわ」


そんなこんなで始まった新生活。

その後も……
新しい家族でのティータイム。

マグカップ上等のオレが
踏み込んだ、
優雅なティーカップ&ソーサの
ティータイム。

洋菓子がセットについて、
マナーを考えながら
食べるのに必死の時間。

本当なら、二本の指でグイっとつまんで
食べたい心境をグッと堪え、
二本の指でカップのとってを挟むように掴んで
指先を軽く添えて、
ぷるぷる震えながら飲む紅茶。


何とかティータイムを終わらせて、
一度、部屋に戻って軽く整理を終えると、
明日からの研修先の病院内を歩く。


その後は、オレの歓迎会の名の元で
開かれた、ディナーパーティー。

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