Eternal Silence




「……やっぱり嵩継は嵩継だね。

 否定しないんだ……。

 俺……薄々感じてた。

 嵩継、オレの部屋に
 なかなか来てくんないし、
 昨日、おふくろ来て
 笑ってたけど笑ってなかったんだよ。

 目も赤くて……
 泣いた後みたいだった……。

 朝から毎日されてる点滴も……
 あれの後、
 何も食う気なくすしな。

 俺だって……
 TVドラマとかで
 知ってるからさ……。

 癌なんだろ、
 嵩継……答えろよ……。
 ……俺……、
 お前から聞きてぇよ……」


暫くの沈黙の後、
海斗がゆっくりと続けた。





俺……

お前から聞きてぇよ……。







海斗が紡いだ、その言葉だけが
やけにリアルに耳に残った。









「ずっと……隠してて悪かった。

 お前のおばさんに頼まれたんだ。

 病名、告知しないでほしいって。


 けど……オレは、
 告知したうえで、
 お前に現実を受け入れて闘ってほしい。

 
 骨肉腫……、それがお前の病名だ。

 今は、化学療法で様子を見てる」






絞り出すように言葉を発しながらも、
震えるオレの手……。





脱力したように、
その場に崩れ落ちた海斗。



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