Eternal Silence
「悪い。
急患終わったら、迎えに来る。
もう少し、星見てろな。
煙草も吸いてぇだろ」
無理に笑いかけた後、
俺の手の中に、
ライターを握らせて
白衣を翻しながら
駆け出して行った。
サイレンの音が止まり、
また静寂な時間が広がる。
空を見上げながら
何度目かの煙草をふかす。
足元に散らばる灰殻。
ゆっくりとフェンスに持たれように、
車椅子から立ち上がると、
体を引きづるように歩いて行く。
『皆……君が居ない方が
幸せになれるんだよ』
心の奥から、
悪魔の囁きが流れ込んでくる。
その声に耳を傾けながら、
ゆっくりと導かれていくままに
歩き続けるうちに、
何時しか……
俺は境界線を超えて……
空を見上げていた。
地上から吹き上げる風。