Eternal Silence

15.逃げ出した夜 -嵩継-





ER勤務。

急患の処置を終えて、
オレは海斗の待つ屋上へと足を向ける。




「海斗遅くなった」






そうやって姿を見せるも、
屋上にアイツの姿はない。







アイツが居なくなった屋上に
残された車椅子。






途端に不安が駆け巡り、
フェンスを超える勢いで、
昇って下を覗き込む。






覗き込んだ下界は、
慌ただしい光景が広がっていた。





PHSが鳴り響く。






「はい。安田」


「嵩継くん、今何処にいるの?
 井津くんが……」





水谷さんが告げた言葉は、
オレの不安を広げていく。







オレがアイツの傍を離れたから……。



だからアイツは、
ここから自殺したのか……。



この屋上から身を躍らせて……。






震える体を両手で抱きしめる。



震える足を、手で叩いて……
その痛みでオレ自身の意識を
保たせると、
一階の救急処置室へと急がせる。






ストレッチャーの上で、
大量の血を流しながら、
ぐったりとしている海斗。



その海斗に今は、
一緒に星空を
見上げてた頃の血色はない。




処置室に飛び込んだものの、
何一つ反射して動けないオレは、
たた狼狽えるばかりで。
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